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祖母になる。

 自分自身は何も変わっていないのに、祖母になったというだけで年老いたように感じる。
 人がおもしろいと感じる感覚のひとつに、イメージと本人のギャップというのがあると思う。
 おとなしそうなのに実は空手をやっている、とか常識家に見えるのに実際は変人である、とかそういうことである。同じような感じで、おばあちゃんにはとうてい見えない、というのがあるとしたら、私はいつまでもそうでありたいと思う。
 
 けれど、“ばあば”が嫌なわけではなく、どちらかというと嬉しいくらいで、予想外に自然に受け入れている自分がいる。それで、なんとなくだけれど、祖母になったという自覚ができてしまって意識を若く保っていられない現象がおきているのである。

 同じ年でも結婚していない友人はいつまでも少女のような心持ちでいられるだろう。けれど私は近頃、洋服などもつい地味な色を選んでしまったり、数年前ならこれにしたかもしれないが、いくらなんでもこのデザインはもう無理だろう、と考たりしている。
 それに加えて実際の老化というものがある。私の場合は特に視力である。このところ老眼が一段階進んだようで、本当に見えにくくなっている。細かい字が全く読めない。先日などは、生まれて初めて百人一首の取り札の文字がかすんで見えた。ずっと視力が良かったので使ったことがなかった目薬を買ってきて点眼している。
 それからとても忘れっぽくなっている。この前は駅まで自転車で行ったことを忘れて歩いて帰ってきてしまい、また歩いて自転車を取りに行った。始まる前に買ったパンを体操教室に置き忘れて帰ってきてまた往復30分かけて取りに行ったこともある。
 以前はこんなことしなかったのにと泣きそうになりながら、誰も行ってくれないので自分で取りに行くのである。
 
 自分の祖母のことを考えると、二人とも“おばあちゃん”で、自分自身に直接関わってくる存在ではなかったように思う。
 それが当然だと思っていた。昔話を聞かせてくれて、甘えさせてくれて、そして必ず自分より先に死ぬ人だった。
 
 外見も能力も衰えていく。それでも今の私は思うように動けるし、自分が自由に使える時間がある。行こうと決めたら外国へも行ける。読みたい本を読み、観たい映画を観て、聞きたい音楽を聞く。いろんなことに感動していろんなことを考える。
 外見ではなく中身が、おばあちゃんらしくなくいられることを目指すしかない、という感じである。

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花設計士

若いおばあちゃん、これからも美しく歳をとってください。そして母となった娘さんにまず、「あなたがいるから、孫も可愛いのよ」
と言ってあげてください。
by 花設計士 (2017-06-18 22:58) 

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