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暑さの夏はオロオロ歩き

 耐えられない夏の暑さ、というのを経験した。 
 八月になったばかりの頃、友達三人で中華のランチに行く約束をした。そのお店は昼の時間を遅くずらして予約をすると割引があるという。
 場所は大阪市役所の近くで、淀屋橋駅で昼過ぎに待ち合わせということになった。
 せっかくなので、辺りを検索してみると、北浜に評判のいい新しいパン屋さんができていた。中之島の東洋陶磁美術館ではフィンランドの陶器展が開催中で、マリメッコの茶室が話題になっていた。
 それで淀屋橋から地下を歩いて北浜のパン屋さんに行き、そこから中之島をまわって、中華レストランに行くという計画をたてた。
 三カ所ともそんなに離れておらず、歩いてもほどよい距離だった。普段なら気持ちのよい散歩コースだったのだ。

 

けれど当日の暑さは36度を超えていた。
 パン屋までは地下道だったが、そこから橋を渡って歩く10分ほどの間に汗が流れ出た。外にただ立っているだけ、空気に触れているだけで、暑さのために倒れそうになったのだった。化粧は崩れ、冷静な思考ができなくなった。
 美術館の中に入ると空調が効いていたので、少し落ち着いて、ゆっくりと見て回り、またハアハア言いながら外を歩いてレストランへ移動し、冷房が効いた中で熱い担々麺などがついたランチセットを食べた。
 帰りにほんの少し遠回りをしてもう一軒有名なパン屋さんに寄るつもりもあったけれど、実際に外に出てみるとそんな気にはならなかった。とにかく駅にもどり、逃げ込むように地下のカフェでお茶を飲んだ。

 

命に関わる暑さなので、ためらわずに冷房を入れましょう、という言葉をこの夏は何度も耳にしたが、本当にその通りだな、と実感した一日だった。
 宮沢賢治の雨ニモマケズのなかの、暑さの夏はオロオロ歩き、という一節を思い出したのだけれど、これは確認してみると、寒さの夏は、が正しく、私のおぼえ間違いだとわかった。かつては日射時間の短い寒い夏は、農作物に被害がでたのだろう。
 この夏の暑さは今年だけのことではなく、これからも続くのである。もう夏自体が以前とは変化しているのだった。

 

持ち歩ける小さな扇風機が流行し、外で仕事をする人は扇風機が内蔵された上着を着るようになった。水分の摂取を誰もが心がけている。
 私自身も夜中クーラーを入れ続けることに抵抗がなくなった。温度設定をしておけば冷えすぎるということはないけれど、一応、腹巻きや冷え取り靴下を準備する。
 それぞれの工夫、進んでいく技術とともに、なんとかこの暑さともつきあっていかなくてはならないのだろう。

 

でもほんとに、九月になってもまだまだ暑い日が続いている。

 

 


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