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裏の顔、おもての顔

 誰でも裏の顔と表の顔がある、と言うと、なんだか隠れて悪いことをしているように聞こえるけれど、プライベートと公(おおやけ)の顔、というと、頷いてもらえると思う。
 
 私は人が普段は見せないプライベートな部分、本音の部分を垣間見るといつもドキリとしてしまう。
 高校生の頃は、ロックバンドでベースを弾いていた人の、舞台で演奏する姿と普段の姿を知っていることがとても特別な感じがした。
 大学生の頃は演劇の舞台や落語会の手伝いをしていたので、出演者の両方の顔を見るのがやはり楽しかった。
 人だけではなく場所についてもそういうことはあって、整骨院の受付のアルバイトをしていた頃は、診察が始まる前と、患者さんがいる時間と、終わった後で、ずいぶん治療室のイメージが変わることに驚いた。
 
 裏の部分、つまりプライベートな部分を知っていることは特別だけれど、ちょっと後ろめたい感じがある。そこには一般の人には内緒のこともあるし、本音を聞くこともあったからだった。
 私などが知ってはいけないこと、見てはいけないことのように、心のどこかで思っていたような気がする。
 
 私の娘のダンナさんの両親はお鮨屋さんをやっている。そこのお鮨はとても美味しいので私はいつも行けるチャンスを狙っているのだけど、そう頻繁には行けない。
 先日、娘が孫を連れて帰ってきていたので、昼に三人でお店に行くことになった。連絡をすると、ランチタイムが終わる頃に来て欲しいという返事だった。
 あちらにとっても初孫なので、お客さんが帰ってのれんを下ろした後に、思い切り孫と遊びたいからということだった。
 気持ちはよくわかるので、言われた時間に尋ねていき、とても歓迎を受けた。
 二人ともお店の顔ではなく、素の、じいじとばあばの顔だった。
 いつもはお客さんでいっぱいの店内も静かで素の顔をしていた。
 私はこのときだけは、これっぽっちの後ろめたさも感じなかった。
 自分がそこにいることが、きちんとした理由がある、当然のことだという確信があったからだと思う。
 
 いつもは仕事でしか顔を合わせない人と、偶然、休みの日に会ったりすると、ちょっと不思議な感じがする。
 でもどちらかというとうれしいし、電車内で会って目的地までの時間を一緒に過ごさないといけない時などは個人的なことも話すことになる。
 そうして次に仕事先で顔を合わしたときに、なんとなく前とは違う親しみを感じる関係になっている。
 そういうことがよくある人というのは、やっぱり縁が深い人なのかな、と思う

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