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お気に入りの赤ペン

 この春から新しい文章教室がひとつ増えた。
 それで合計3講座となって、毎月40作近い文章作品を読んで講評することになった。
 
 作品は前月に受け取り、それからかなり何度も読みこみ、赤ペンで感じたことを書き込んでいく。
 講座では、基本的に赤ペンで書き込んだことを中心に喋り、終了後に作者にそれを返すことにしている。
 今までのをすべて保存している、という人もいるので責任重大である。自分の文章感覚を信じて、自信を持ってやるしかない、と覚悟を決めてやっている。
 
 この添削についても、時間をかけて何度か手を入れていくのだけれど、日をあらためて読み返すと、前に読んだときとは違う感想を抱いたり、別の部分に感動したり、ということがある。
 どうしてこんなことを書いたんだろう、と思うこともあったりして、そういうときはいったん書いたものを修正テープで消したりする。
 また、手書きなので、字を丁寧に書くことも心がけないといけない。急ぐとつい手が乱れるので気をつけている。
 漢字のミスには特に注意して、不安なときは必ず調べるようにしている。
 
 テーブルの上に常に作品達を置いていて、毎日少しずつ書き加える。生活の一部のようになっている。
 この時に重要になるのが〝赤ペン〟で、これによって添削作業の進み方や見映えが左右されてしまう。
 私は先月まで4本ほどの赤ペンを使っていたが、これはどれも使い勝手がよくなく、しっくりときていなかった。
 ペン先が固くてインクの出が悪く、無駄に力が必要だったり、傍線を引いている間にかすれたり、ちゃんと書いているのに字が汚く見えたり、ということがあった。
 はっきり言って、どのペンも無理をして使っていた。使うたびに気持ちが微妙に沈む。小さなストレスが溜まるのを感じていたのだった。
 
 それで私は思いきって良い赤ペンを探しに出かけることにした。
 コロナの第3波が収まった谷間の時期のある日、電車に乗って文房具の問屋さんに行った。
 そこにはあふれるように赤ペンがあって、すべて試し書きができるのだった。
 
 ペン先は細すぎてはいけない。0.5か0.7ミリがいい。滑り過ぎもダメ。柔らか過ぎても固過ぎてもよくない。
 使い手の好みにもよるだろうが、私はペン先がカッと紙に切り込むようなエッジの効いた書き味のものが好きだ。
 
 ペンの棚の前に立ち、時間をかけて試し書きを続けた。
 文字をいくつか書くだけではわからないことが多いが、とにかく、なんとなく良さそうなものを5本選んだ。
 それらを買って帰って、今はランダムに手に取って使っている。
「あっ、これいいかも」
と思うこともあるのだけれど、見た目が似ているので、どれが書きやすかったか忘れてしまい、翌日にはまたランダムに使うことになる。
 でもこの5本はどれもわりといい感じである。
 ただ、はっきりと順位をつけて、それをおぼえるのはまだちょっと先になりそうだ。
 
 私だけにしかわからないことだけど、まあまあ大切なこと。
 

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