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となりのトトロ

「となりのトトロ」のテレビ放送を楽しみに待っていた。お盆休みに娘が一歳三ヶ月になる女の子を連れて里帰りをしていたので、一緒に見ながら録画もしようと決めていたからだった。

 孫娘は画面を興味深く眺めていたが、さすがにまだ内容は理解できないし、集中力も続かないようだった。
 けれど私はかなり熱心に最後まで見入ってしまい、久しぶりのトトロに、これほどの名作だったのか、と改めて深い感銘を受けることになった。
 
 子どもらが幼い頃、何度見たかわからないのに、ああ、こんな場面があったんだな、とハッとすること(例えば、家族三人で自転車に乗ってお母さんの病院へお見舞いに行くときに、サツキちゃんが荷台を後ろから押して走りながら飛び乗るところなど)が多かった。
 全編を通して胸にグッとくるのはサツキちゃんのけなげさ、かしこさ、えらさ、それら故のかわいらしさである。
 お母さんが入院中という状況を受け入れ、小学校六年生、十二歳で妹にとっての母親代わり、家庭の主婦としての役目を果たす気持ちでいる。お弁当作りのことをすっかり忘れているお父さんに、これっぽっちも期待していない様子からそれがわかる。
 引っ越してきた夜、庭先で抱えていた薪を空高くさらっていった風を見上げる彼女の表情、お母さんに手紙を書く横顔、父の勤務先へ電話をかける様子も、作り手がよく考えて丁寧に描いているのがわかる。
 繊細に丁寧にきちんと描く。作り手の気持ちが伝わってくる。特に自然描写のすべてが詩的であるのは見事だと思う。
 
 心待ちにしていたお母さんの退院の日が延びたという知らせを受けて、サツキちゃんが気持ちを抑えられずに泣きじゃくる場面ではいつも泣いてしまう。
 けれども今回は、その他のちょっとした場面でも、(例えばメイちゃんがおばあちゃんに連れられて学校に来るところ、カン太が大人の自転車を立ち漕ぎして代わりに七国山病院に行ってやる、という言うところなど)涙がこぼれて止まらなかった。
 この映画が世界中で評価を受けているというのは本当にうれしい。
 
 娘が幼い頃、「トトロ」と言えずに「トト」と呼んでいたことが頭に残っていて、トトロが登場すると私はつい「トト、ほらトトよ」と言って画面を指さした。
 
 ばあばはなんべんでも繰り返して孫に見せたいと考えている。

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