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インスタグラム

 インスタ映えする、という表現を最近よく耳にする。インスタグラムとは、私、こんなに素敵な場所に行ったんですよ、とか、こんなに美味しそうなものを今から食べます、とか、みんなが興味を持って羨ましく思うような写真を撮って公開するスマートフォンのアプリである、という漠然とした知識だけは持っていた。
 しかし自分とは無縁のものということだけは確信していたのだった。
 
 それを始めることになったのは、私のトールペイントの師である古屋加江子先生のニセモノ(デザイン者名を明記していない)作品がインスタ上に溢れているので何とかしてほしい、という生徒さん達の訴えがあり、先生がご自身の作品を一作ずつ順番に公表(アップ)されることになったからだった。みんなで先生をフォロー(登録して応援)しましょう、という流れになったのである。

 8月はじめに東京の教室に行った際にスマートフォンに詳しい教室スタッフの人に教えてもらいながらインスタグラムをダウンロードして登録した。それで先生の作品を毎日眺めて楽しめるようになったのである。あっ、いいな、と思ったら「いいね」という意味のハートボタンを押し、感想も送れて簡単にコミュニケーションが取れるし、他に「いいね」を送った人のページも気軽に見られるという仕組みを新鮮に感じた。必要に迫られて始めてみると案外おもしろかった、というこれはおばさんが新しいことにハマるときのひとつのパターンかと思われる。
 
 そのうちに、この場を使って自分でも何かできるのではないか、と考えるようになった。それでネットでインスタグラムのやり方を検索してハッシュタグ(♯)の付け方などを勉強した。私はピーターラビットが大好きでもう30年近くグッズを集めたり自分で作ったりしてきた。そのなかにはとてもめずらしい物もある。それらを写真に撮って整理しながらアップしてみようと思いたったのである。
 作者のビアトリクス・ポターに関わるものもたくさんあるし、実際にイギリス湖水地方を訪れたときの写真も山のようにある。自分にとってとても価値があるけれど、周囲にはそれほど感動してもらえなかったそれらのものを、「私、こういうものに惹かれるんです」という感じで発信してみることにしたのだった。
 
 映りの悪い写真を修整し、説明は英語と日本語で書き、検索のきっかけになるハッシュタグ(#)も英語と日本語で表記した(これは英語の勉強にちょうどよかった)。一番初めはトールペイントの講師資格試験に提出したピーターラビットシリーズの絵本をテーマに描いた作品を選び、その後は湖水地方を描いた自分の作品と参考にした風景写真などを順にアップした。おそるおそるやっていたが、♯湖水地方 には美しい風景写真を集めている人達が「いいね」を押してくれるし、#ハンドメイド には手作り好きの人達が反応してくれた。
 少しずつではあるけれどフォロワーが増えていき、特に外国の人が多いことに世界とつながっている感覚が得られた。♯ピーターラビット に「いいね」を送ってくれた人のページを見てみるとかなりのピーターコレクションが並んでいて驚愕することもあった。これは日本の人が多いけれど、感動を覚えるほどのマニアの存在を知ることができたのだった。そして、ピーターファンの人のページに「いいね」をしている人のページを見ると、またピーターの写真が並んでいて、それに「いいね」を送ると、その人が私に気づいてページを見てくれるという連鎖が起こるのである。
 
 フォロワー20数人の小さな世界ではあるけれど、自己表現の場のひとつだと思う。
 ただ、一度だけ、孫娘のお食い初めに用意された鯛とお寿司があまりに豪華だったので、つい写真をアップしてしまったことがある。ピーターラビットとはまったく無関係の写真である。
 けれど結果的に、この、♯sushi とタグをつけた写真が私のページのなかで最も多くの「いいね」を獲得したのだった。

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