お雑煮LOVE
いつもと同じ日々の繋がり、といってもやはり年末にはいろんなことに区切りを付けるし、年明けにはあらたな気持ちになる。
お正月休みというのは身体をリセットできるのがうれしいけれど、私の一番の楽しみはお雑煮である。子どもの頃からお雑煮が大好きなのだ。
大晦日にはおせち料理を作ったあとに、お雑煮の材料を準備する。もう何十年もそうしている。私の生まれ育った家には、1月1日の朝は刃物(包丁)を使ってはいけない、という慣習があって、材料を前日にすべて切っていた。
母がずっとそうしていたので、私は自分もそうするものだと思い込んでいる。
お雑煮は白味噌に焼かない丸餅を入れたもので、他の具は、雑煮大根(細い)、金時にんじん(紅くて細い)、里芋、豆腐(絹)である。
大根とにんじんは皮をそいで薄い輪切りにする。
里芋は皮を剥いて小さめに切っておく。
それらをタッパーに入れて冷蔵庫でひと晩保管する。
豆腐については慣習を破って、元日の朝に切っている。
里芋は昔から当たり外れがあり、時々、硬いものが紛れていることがあった。数年前に海老芋の存在を知り、近頃はそれを使っている。
ちょっと高価だけれど、海老芋のやわらかさには間違いがない。
お餅は手つきに近い味わいのものを探し、味噌にもこだわる。
両親が健在の頃は、正月前に家でついたお餅を届けてくれた。
白味噌は母の手作りだった。
材料の大豆は畑で作ったもので、こうじは、堺の方違神社の近くにあった「こうじ半」という店で買っていた。
母から味噌の作り方を私は習っていない。「こうじ半」ももうない。
あの当時と同じ味のお雑煮はもう二度と作ることはできない。
それでも精一杯、ベストを尽くした私のお雑煮を、愛おしく感じている。
お椀の中の、汁も大根も豆腐も芋も、ほぼ白い。
その中に輪切りの紅い金時にんじんが浮かぶ姿が、とてもおめでたく感じられる。
すっきりと上品で、古風なところもいい。
一年の始まりにピッタリで、とてもうれしい。
今年も普通に私なりにやっていこう、という気持ちになる。