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機種変更の憂鬱

 スマートフォンの機種変更をしないとな、と少し前から考えていた。
 今の機種は4年以上使っている。
 時々、不具合を感じていたので、もうそろそろかな、と思っていたのだった。
 私が使っているのはiPhoneで、新しい機種が次々販売されているけれど、あまり興味はなく、今のスマホさえ機能を使いこなせてはいない。
 より便利になっているといってもその複雑さについていけていない。しくみが理解できていないのだ。
 すべてに理解が及ばない、ということで、漠然とした不安をいつも感じていた。
 好きな人にとっては、機種変更は心躍るイベントなのかもしれないけれど、私には憂鬱の種だった。
 契約している携帯会社のショップには長い間、足を運んでいない。
 前回は電気屋さんで購入した。4年半前のことだ。
 ショップに行くよりもそのほうがいいと教えてくれる人がいたのだった。
 そのときは前日に説明を聞きに行き、その翌日、同じ担当者がいる時間にもう一度行った。
 事前にネットでも情報収集しておいた。
 一番気になるのはデータの移行だった。
 古いスマホのデータを保存して、新しい機種に移すのである。
 メールやゲームなどのアプリごとに機種変更コードを取っておいたり、パスワードを確認しておく必要があった。
 前回はそれらを自力でなんとかやることができた。
 でも今回もまたそれができるか不安があった。
 機種変更の失敗は私の周りの人にはよくあることで、ライングループから名前が消えたり、ゲームのデータがゼロになったりという話はよく耳にしていた。
 しかし今回、調べてみると、ショップで頼めば有料でデータ移行をしてくれるということがわかった。そういう制度ができているのだった。
 それに自分でやるにしても〝クイックスタート〟というやり方があって、それは新旧の機種を並べて置いておくだけでできるというのだった。
 技術は進歩している。かなり簡単になっている。店に行かなくてもネットでスマホを買って家に届けてもらうことを携帯会社は推奨しているようだった。
 説明を読んでいると、自分にもできそうな気がしてくる。でも本当にできるだろうか。
 かなりいろいろと考えた。
 うーん、どうしよう。一度、機会をみて説明を聞きに行こうか、と思いながら手帳を見ると、ちょうど仕事の休みが続くときがあった。
 それでやっぱりショップへ機種変更に行ってみることにした。あれこれ考えるのがいやになったのだった。
 
 家から自転車で10分ほどの距離にあるショッピングセンターのなかの店を予約した。
 そこはいろんな人が来るので対応が親切だという評判を聞いていたのだった。
 iPhoneの機種変更だと言うと選択肢はひとつだけで、最新の機種となった。
 20代らしき店員に丁寧に説明してもらい、その説明に対する疑問点については質問して納得した。
 いらないと思う付属品は断った。保護フィルムなどは手数料も含めてとても高価だったので他で探すことにした。
 データ移行については前の方法で自力でやるつもりだった。そのために時間のたっぷりあるときを選んだのだった。
 けれど、
「ほぼすべてのデータを移行できます。アプリも全部です。すぐに前と同じように使えますよ」
と笑顔で言われて気持ちが揺れた。
 〝クイックスタート〟を使うのが普通だという。
 1時間でできるというので、私は結局頼むことにしたのだった。
 
 あんなにいろいろと考えていたのに、最後は気楽な方法を選んでしまった。
 おかげで時間を有効活用することができた、とは思うけどなんとなくこれでよかったのか、という気持ちが残る。
 今は無事に機種変更が終わってホッとする気持ちだけを受けとめるようにしている。
 数年後の次の機種変更のときは、技術はどのように進歩しているだろうか。
 そして私はどんなことを思うのだろうか。
 
 
 
 

タグ:機種変更
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