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2月の雨

 “冷たい雨が降っている” というフレーズが自然と口に浮かぶときがある。
 かなしくてせつなくて、ちょっと乾いた感じ。自分の不遇を嘆くこともなく受け入れているような感覚のときに、この吉田拓郎の歌を私は誰にも聞こえないように口ずさむ。
 ーねぇ貝殻になりたいね 海の深くで眠りたい 殻がまもってくれるだろう ねぇ貝殻に  
なりたいねー
 それはまさに2月の雨の中をひとりぼっちで自転車を漕いでいるようなときのこと。
 冬の雨は本当に冷たくて、その中に自転車を漕いで出るのは考えただけで気が滅入る。
 完全装備をしても手袋の中が濡れてきて、つま先がじんじんしてきて、身体が冷えきってくる。風邪をひくかもしれない、と心配になる。
 
 先週の火曜日、朝から天気予報がしつこいほど、今日の午後は雨が降ります、と言うので、手早く準備を済ませて電車で仕事に行くことにした。
 誰に相談することもなく、自分で決めて、いつもより10分ほど早く家を出た。
 自転車だと8時半ちょうどに家を出たら、職場に着くのが8時55分くらい。これを8時20分に家を出て、駅まで早足で10分歩き、8時30分の地下鉄に乗ることができた。
 三つ目の駅に降りたのが8時35分で、そこからまた10分ほど歩く。8時45分には到着した。
 いつもなら必死でペダルを踏んでいる時刻だった。
 やっぱり電車は凄いなあ、と感心する。お金を払っているのだから当たり前か。通勤手当はもらっていないので自分で払う。
 夕方は予報通りの雨だったけれど、歩くだけならしっかり傘が守ってくれる。贅沢をした気分になって、“冷たい雨が降っている” という歌をこの日は思い出すことはなかった。
  
 多忙な日々が続いている。いくつかの物事を同時に進めていると、いろいろな問題があちらこちらで持ち上がる。
 自分で対処できることはやるけれど、時間をとられるし、精神的にも消耗する。人の不満を聞いてばかりいると、私も誰かに思い切り愚痴ってみたいな、と思ったりする。
 今のところ、なんとか元気でいられているのは有り難い。多少の障害は乗り越えられる気力がまだありそうである。
   
 避けられる雨は避けようという気持ちが働くところが、元気な証拠だという気がする。
 気持ちの波というのはあるだろうけれど、敢えて冷たい雨の中に身を置きたい、などと願ったりすることなく、なんとかこの冬を乗り切りたいものだと思っている。

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